純正インクとリサイクルインクの違いとは?
持続可能な社会を目指し、さまざまな製品が再利用されるようになりました。実は印刷の分野にもその流れが起こっており、リサイクルインクが積極的に使われています。そう言われても、インクは消耗品なので、どのように再利用するのか分からない人もいるでしょう。具体的にイメージできないと、使い始めるきっかけすら掴めないかもしれません。そこで本記事ではリサイクルインクに着目し、純正インクとの違いについて詳しく説明します。
カートリッジに入っているインクが非純正
リサイクルインクで使用されるカートリッジは純正と同じものです。そのため、外観を見ただけでは、具体的な相違点を把握できない場合もあるでしょう。カートリッジに入っているインクがポイントになります。そちらは他のメーカーが新たに製造したものです。つまり、使い切った純正のカートリッジに新たなインクを装填しています。このように外側を再利用していることから、リサイクルというワードが使われているというわけです。しかし、わざわざ再利用する意味が分からないという人もいるでしょう。別のメーカーが新たに全体を作った製品も互換品として販売されています。ただし、それらはプリンターとの適合度が悪いケースも珍しくありません。それに対してリサイクルインクは適合度に関する心配が不要です。純正品のカートリッジに入れているので、プリンターとの相性は抜群となっています。残量のチェック機能なども正常に利用できるケースが多いです。もちろん再利用なので完璧ではありませんが、信頼性は決して低くありません。
価格が純正インクよりもリーズナブル
中身が非純正なら純正インクのほうが良いと思う人もいるでしょう。しかし、価格に関する情報を知ると、必ずしもそのように判断しないかもしれません。一般的に再利用品はリーズナブルですが、それと同様のことがいえるからです。リサイクルインクは純正インクよりもかなり安い価格で販売されています。8割程度の金額で購入できるケースも珍しくありません。もちろんそれ以下の商品もありますが、いずれにせよランニングコストを抑えたい場合にうってつけです。年賀状だけでしか印刷しないなど、プリンターの使用頻度が低ければ、あまり恩恵を感じない場合もあります。一方、頻繁に印刷している状況なら、顕著な違いを感じられるはずです。たとえば、純正品より1000円安いものを月に1回買っている場合、年間で1万2000円も節約できる計算になります。よって、プリンターのヘビーユーザーなら、リサイクルインクを選択することは有効な手段です。カートリッジも別物の互換品より少し高いですが、プリンターとの適合度を考慮すると損ではありません。
リサイクルならではの環境への優しさ
環境保護に貢献できることもリサイクルインクの魅力です。使用している本人は意識していない場合もありますが、地球に優しい選択をしていることは間違いありません。なぜなら、本来は廃棄される予定だったカートリッジを使っているからです。カートリッジを処分しようとすると、他のゴミと同様に温室効果ガスが発生してしまいます。世界中で印刷は行われており、かなりのハイペースでインクを消耗しているのが実情です。それに伴ってカートリッジも大量に廃棄されています。これらを再利用するので、温室効果ガスの発生を抑えることになるのです。一人ひとりの影響は小さいかもしれませんが、利用者が増えている現状だと決して無意味ではありません。国の施策として環境保護が求められる昨今において、非常に社会貢献度が高い行動となっています。ですから、自分も地球を大切にしたいと思っている人は、リサイクルインクの利用を通して充実した気持ちになるでしょう。このような心理面の作用も特徴の一つです。
純正インクよりも低い印刷のクオリティ
上記のように、インクが純正はないことをしっかり理解することが大事です。その事実は価格が安いというメリットにつながりますが、一方で必ずしも品質は高くないというデメリットもあります。たとえば、純正インクよりも各色の再現性が低いケースも少なくありません。少し見た程度なら気にならなくても、純正インクで印刷したものと並べると、発色の悪さが分かるかもしれません。たいていの人にとって支障がない範囲の差ですが、フォトグラファーのような特別な立場なら注意が必要です。言い換えると、印刷のクオリティを重視するなら、リサイクルインクの使用は控えたほうが良いでしょう。普通に見たり読んだりするものを印刷するなら、問題を感じるほど低い品質ではありません。とはいえ、製造しているメーカーの技術や管理状態にもよるため、実際には期待にそぐわないケースもあるでしょう。よって、販売のページに掲載されている印刷物の写真などを見て、品質をしっかりチェックしようとする姿勢が求められます。
プリンターが保証の対象外になるリスク
基本的にリサイクルインクはプリンターの製造元以外が作ったものです。そのため、一度でも使用するとプリンターの保証が適用されなくなる可能性があります。買ってから長い期間が経過している場合は、それでも構わないかもしれません。なぜなら、すでに保証期間が切れている可能性もあるからです。しかし、買ってから間もない場合は話が大きく変わってきます。もし保証期間が残っていても、リサイクルインクを使うと対象外になりかねません。
プリンターが故障して修理に出しても、内部にリサイクルインクが入っていると断られてしまう場合があります。そう聞かされると、純正品に取り換えておくと良いと思う人もいるでしょう。ところが、プリンターは純正品以外を検出した場合、それを記憶しておく機能を持っています。すべての機種がそうではありませんが、断られるリスクがあることを前提に考えたほうが良いでしょう。ですから、保証期間内のうちは純正品だけを使ったほうが得策な場合もあります。
純正インクとは異なる独自のサポート
非純正であることは他の互換品と変わりませんが、リサイクルインクはサポートが充実しているケースも多いです。それは製品の成り立ちを考えると分かりやすいです。リサイクルインクを製造するにはカートリッジの回収が必要になります。これを行うパターンとして多いのは、企業などの職場に回収ボックスを用意しておくことです。そこに入れられたカートリッジを工場に持ち帰り、インクを再装填して品質検査を済ませた後で出荷します。つまり、得意先と契約して回収ボックスを置けるようなメーカーが多いというわけです。よって、大手のメーカーが手掛けていることも珍しくありません。それらはプリンターが壊れた場合の対応などを無償で実施しているケースもあるのです。値段の安さと安心は本来トレードオフの関係にありますが、リサイクルインクについては両立できている商品がよくあります。そのため、メーカーについて確認することも大切なポイントの一つです。サポートの充実度を把握したうえで判断しましょう。
まとめ
リサイクルインクと純正インクには相違点がたくさんあります。インクが非純正で価格が安く、環境保護に貢献できるなど、オリジナルの特徴を知っておくことが重要です。メリットとデメリットの両面があるため、それらを踏まえて自分に合った方を選ばなければなりません。総合的に判断するための情報が必要です。とはいえ、一般的に再利用品が尊重される時代になっています。そのため、これまで興味がなかった人も利用を検討してみると良いでしょう。